公明新聞:2010年3月19日
記者会見で斉藤氏ら
温室ガス 20年までに25%削減
取引制度 排出総量に上限
気候変動対策推進基本法案の要綱を発表する斉藤政調会長(中央)ら=18日 環境省
公明党の斉藤鉄夫政務調査会長(前環境相)は18日、環境省で記者会見し、政府提出の「地球温暖化対策基本法案」の対案として、公明党が今国会に提出予定の「気候変動対策推進基本法案」の要綱を発表した。これには党地球温暖化対策本部の加藤修一本部長(参院議員)、江田康幸本部長代理(衆院議員)が同席した。
気候変動対策推進基本法案は、地球温暖化をはじめとする気候変動を人類にとって最大の課題の一つと位置付け、持続的な経済の発展を促すとともに、環境保全や国民の健康で文化的な生活を確保することが目的。今後、要綱の法文化作業を進め、衆院提出をめざす。
会見で斉藤政調会長は、要綱に明記した温室効果ガス削減に関する中長期目標について、他国の取り組みにかかわらず、「2020年までに1990年比で25%削減し、50年までに90年比80%削減という目標を掲げた」と強調。
政府案については、主要排出国が意欲的な目標に合意しなければ、日本の目標を設定しないという前提条件を付けている点を指摘し、「これから日本がどういう基本姿勢で温暖化に対して立ち向かっていくのかという姿勢を示す法律に、前提条件はあり得ない」と批判した。
また、加藤本部長は、昨年12月にデンマークで行われた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で取りまとめた「コペンハーゲン合意」を踏まえ、「世界の気温上昇を産業革命前から2度以内に抑える目標を明示した」と、政府案と異なる点を指摘した。
要綱では、温室効果ガスの中長期目標を達成するため、国や地方公共団体などの責務を明記。その上で、(1)気候変動対策税の創設(2)国内排出量取引制度の導入(3)太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギー供給の拡大(4)全量固定価格買取制度の創設――など具体策を盛り込んでいる。
特に、国内排出量取引制度については、12年までに実施することとしており、確実な排出削減が見込めるよう、事業所における温室効果ガス排出総量に上限を設ける仕組みとした。また気候変動対策税については、11年に創設し、温室効果ガスの排出抑制を図り、税制全体のグリーン化を推進する。ただ、いずれの制度も、低所得者への負担軽減や産業の国際競争力に影響を与えないよう配慮することを明記している。