文化芸術政策の充実を
◆日本の物語など創作・実演 ◆実演芸術の交流センター ◆予算比率0・1%→0・5%に拡充
◆料理など日本版マイスター制新設 ◆優れた文化を「日本遺産」に
公明党の文化芸術振興会議(高木美智代座長=衆院議員)は19日、首相官邸で菅義偉官房長官と会い、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、日本の文化芸術基盤を飛躍的に充実させるよう求める提言を行った。高木座長のほか、斉藤鉄夫幹事長代行、竹谷とし子、石川博崇の両参院議員が同席した。
提言では東京五輪開催を「日本各地の多様、多彩な文化芸術の基盤を計画的、着実に強化する機会」と位置付け、(1)実演芸術振興(2)芸術活動基盤の充実(3)文化芸術を観光・国際交流に生かす―などの7テーマを盛り込んだ。
具体的には、舞踊や演劇などの実演芸術振興策として、日本固有の物語などをバレエやオペラなどに創作し、公演するための助成制度を創設。料理、製菓、理美容などの生活文化の分野では、高度な技術を持つ職人に授与する、日本版マイスター(名人)制度「最優秀職人」(仮称)称号の新設などを提言している。芸術活動基盤の充実策では、国内外の実演芸術家が交流する拠点「実演芸術連携交流センター」(仮称)の創設や伝統芸能を鑑賞・体験できる情報提供拠点「和の空間」の新設を求めた。
このほか、優れた文化・伝統を「日本遺産」(仮称)に制定し一体的に整備・活用することも提案。在外公館の文化的機能の強化、ICT(情報通信技術)を活用した文化芸術へのアクセスの強化、障がい者の文化芸術推進のための基盤整備などを提言した。
さらに、総合的な政策実現へ「文化省」の設置を求めたほか、2020年までに文化予算が国家予算に占める割合を現行の0.11%(2012年度)から0.5%に高めることや寄付税制の見直し、寄付文化の醸成などを訴えた。
席上、高木座長は、「各文化芸術団体から何度も意見を聞いて作成した現場発の提言」と述べた上で、「日本の文化予算の比率は、国際的に低水準。成長戦略の中心として文化芸術政策を位置付けてほしい」と強調した。
菅官房長官は、「文化芸術振興はオリンピック憲章でも義務付けられており、東京五輪前のタイミングが良い提言。しっかり受け止める」と述べ、振興策として寄付税制の充実が重要との認識を示した。
【公明新聞より転載】