軽減税率
意義大きい10%時導入。「引き上げ時」実施へ全力
軽自動車
負担増を抑制。“約束違反”訴え、取得税引き下げ
エコカー減税など拡充も
12日に与党が決めた来年度税制改正大綱では、消費税率引き上げに伴う軽減税率の導入や、軽自動車に対する税制などで公明党の主張が大きく反映されました。そのポイントについて斉藤鉄夫税制調査会長に聞きました。
―軽減税率はどうなりましたか。
斉藤鉄夫税調会長 自民党との厳しい交渉の結果、二つのことが決まりました。一つは軽減税率を消費税の「税率10%時に導入する」ことで、この意義は大きいといえます。
2点目は詳細な制度設計について、今までは政治家だけでしたが、今後は財務省なども検討し、来年12月の税制改正までに決定するとした点です。
―具体的な導入時期は。
斉藤 公明党は「10%への引き上げ時」に導入する方針を変えたわけではありません。税率10%時という表現の中に10%への引き上げ時が含まれるのは当たり前です。それまでに導入が間に合うよう制度設計に全力を挙げていく決意です。
―制度設計に向けた課題は。
斉藤 事業者団体などから「事務負担が大変になる」といった指摘を受けてきたことを踏まえ、公明党は現行の帳簿をそのまま使うなど事務負担増を抑える方法を提案。最終的に、税理士や商店街の団体、財務省も理解してくれました。
―対象の線引きも課題ですが。
斉藤 これから決めていくことになりますが、公明党は酒と外食を除く食料品と新聞、出版を対象とする案を提示しました。欧州主要国は、同様のものを対象にしており、その税率は大半が1桁です。いずれにせよ、国民生活に混乱を生じさせない制度をつくっていく必要があります。
―軽自動車に関する議論は。
斉藤 軽自動車に関わる税は、取得税と軽自動車税の二つが主な議論の対象でした。当初、自民党が示した案は、取得税を現行の3%から引き下げず、軽自動車税は来年4月1日から1.5倍にするという、“軽自動車往復ビンタ”といってもいい内容でした。
公明党は、軽自動車は“庶民の足”であって、特に婦人や高齢者の生活の足だと主張しました。そして、「地方では1人に1台なくてはならないといっても過言ではない」「暮らしに根差した軽自動車の税を上げるべきではない」と粘り強く交渉しました。
―交渉の結果は。
斉藤 軽自動車の取得税は3%から2%に引き下げることで決着。取得税は、今年度税制改正大綱の中で、消費税率が8%になる段階で軽減すると約束していたので、私たちは「3%のまま据え置いたら約束違反になる」と訴えてきました。
軽自動車税については、いま所有している軽自動車は増税せず、実施時期も自民党案よりも1年遅らせて、2015年4月1日以降に新規購入した軽自動車のみを増税(1.5倍)の対象とすることで落ち着きました。
軽トラックなど貨物用の軽自動車と、営業用の軽自動車は、中小企業や農家への影響を考慮して、増税幅を1.25倍にまで抑えています。
こうした与党の決定に対して、大手自動車メーカーの会長からは「実質的に軽自動車を守ってくれた。公明党のおかげだ」と評価を頂きました。
―その他、公明党の主張が反映された点は。
斉藤 消費増税から庶民生活を守るための対策で大きな成果がありました。まず、軽自動車だけでなく普通自動車も取得税を引き下げ(5%→3%)、エコカー減税も拡充。住宅ローン減税を大幅に拡充し、それだけでは足りない方には「すまい給付金」を支給します。
【公明新聞より転載】