政権交代後、手詰まり状態
法改正の骨格提示 公明中心に打開策を議論
党幹事長代行 斉藤鉄夫 衆院議員
問い 郵政民営化の現状について教えてください。
答え 2007年10月の郵政民営化で、従来の日本郵政公社は解散し、政府出資の持ち株会社日本郵政と、郵便事業会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険という5社体制になりました。
日本郵政グループの現状ですが、郵便事業会社、郵便局会社の収益は悪化【図参照】しています。ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融2社は比較的好調と言えますが、総資産は減少傾向にあるため、先行きに懸念がないわけではありません。
民主、国民新両党の連立政権は、郵政事業の立て直しを標ぼうしていますが、現実的には、手を打てていない状況が続いています。
金融2社について、当初は17年9月末までに株式を売却し、完全民営化される方針でしたが、現政権は、09年12月に郵政株式売却凍結法を成立させました。しかし、これを受け、自公政権で作った現行郵政民営化法の下で、新規事業が適切かどうかを審査する郵政民営化委員会は「凍結が続くなら新商品・サービスを認めない」としており、郵政事業の収益力向上に向けた新規事業への参入は、事実上できない状態になっています。
現政権は、自公政権時代の郵政民営化を抜本的に見直す郵政改革法案をまとめ、国会に提出していますが、この法案の成立も見込めません。
現在の中途半端な状態を放置し、郵政の各事業に悪影響を及ぼすことになれば、国民共有の財産を大きく毀損することになります。
こうした手詰まり状況を打開するために、現在、民主、自民、公明3党の実務者による協議が進められています。
ここまでの協議では、政府提出の郵政改革法案ではなく、現行の郵政民営化法の見直しを行うことや、郵便事業会社と郵便局会社を合併させて、日本郵政グループを現在の5社体制から4社体制に再編すること、政府が保有する日本郵政の株式を早期売却する方針では大筋で一致しています。日本郵政の株式売却については、東日本大震災の復興財源に充てることも期待されています。
また、金融2社について、どこに住んでいても等しくサービスを受けられるユニバーサルサービスを法的に保証することや、郵便貯金、簡易生命保険の利用限度額を当面は引き上げないことも確認しています。
現状では、日本郵政が保有する金融2社の株式をどこまで売却するのかや、新規事業への参入規制の在り方が、今後の議論として残されています。
公明党は、3党協議の中で、政府提案の改革法は廃案にし、自公で作った民営化法の修正という形で見直すことや、その中で、郵政グループを4社体制に再編する法改正の骨格を提示。金融2社の株式売却についても、新たな提案をするなど、中心となって、精力的に議論を前に進めています。
【公明新聞より転載】