公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は15日、NHK番組「日曜討論」に出演し、12日に決定された来年度与党税制改正大綱について、賃金の上昇によって景気の好循環をつくるのが狙いだとの考えを示した。
斉藤税調会長は、今回の大綱に関して(1)企業を元気にして賃金を上昇させることで消費を拡大し、デフレ(物価下落が続く状態)を脱却する(2)消費増税に対する駆け込み需要やその反動減を抑えて景気を腰折れさせない―などと説明。
その上で、「(企業の税負担を軽くした分の資金を従業員の)給料や下請けに回してもらうことによって、消費を回復し、景気の好循環につなげていくのが狙いだ」と語った。
具体的には、研究開発や設備投資に使う資金を増やした企業などを減税することで経済を活性化させ、従業員の賃上げを促進するとし、「必ず給料(引き)上げにつながるようにしっかりチェックしていく」と述べた。
賃上げに関しては、公明党の提案で実現した「政労使会議」の開催や、太田昭宏国土交通相(公明党)が建設業界団体に対して職人の適切な賃金の支払いを直接要請するなどの取り組みも紹介した。
一方、斉藤税調会長は、大綱で消費税率「10%時で導入する」と明記された軽減税率を実施した際に、事業者の事務負担が増加するとの懸念がある点について、「(公明党が)現在の請求書等保存・帳簿方式で可能だと提案し、諸団体から理解をいただいている」とした。
軽減税率導入の詳細な時期に関しては、「(消費税率)10%引き上げ時をめざして頑張るべき。十分可能だ」との認識を示した。
国民生活支える税制
公平性のバランスも見事 与党大綱
神野・東大名誉教授が評価
15日のNHK番組「日曜討論」で神野直彦・東京大学名誉教授は、来年度与党税制改正大綱を「原点を見失わずにバランスが取れた大綱」であり、「国民の生活を支えるための税制をつくるビジョンに基づき進めた」と評価した。発言の要旨は次の通り。
今回の大綱は、原点を見失わずに見事に「大岡裁き」(江戸時代の名奉行・大岡越前守が行った公正な判断)のようなバランスが取れた大綱に出来上がっているのではないかと評価している。
今回の税制改正では、国民の暮らしを支える消費税を充実・拡充していくために増税をした。これは歴史的にも画期的な改革だと思う。この原点を見失わなかった。つまり、依然として減税の向かい風は強く吹いていたが、見事にバランスを取ったというふうに思う。
もう一つは、ともすると税金は経済政策のために課税の公平性がゆがめられてしまうが、これについてもバランスを取った。
最後に、非常に大きなこれからの税制改革のビジョンとして、所得税、法人税、消費税を基幹税とし、国民の生活を支えるための税制をきちっとつくるビジョンに基づきながら、一歩一歩着実に進めたと評価している。
【公明新聞より転載】