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軽減税率について(公明新聞インタビュー)

全ての消費者が等しく恩恵。マスコミ調査では7割賛成

減少する税収の補てん、小規模事業者の事務負担が課題

今夏に中間報告、年末の税制改正大綱までに制度設計

―与党の来年度税制改正大綱に、消費税率10%引き上げ時に軽減税率導入をめざすと盛り込まれた。

斉藤鉄夫税調会長 軽減税率は、全ての消費者が等しく恩恵を受けられる制度なので、国民の間の不公平感が少なく、実際にマスコミ各社の調査では約7割の人が賛成しています。少子高齢化が進行する中、社会保障を安定して支えるための消費税率引き上げを国民に理解してもらうには、軽減税率の導入が必要なのです。

一方、昨年6月の民主、自民、公明3党合意では、低所得者対策として軽減税率の他に、減税と現金給付を組み合わせた「給付つき税額控除」も検討対象とされていましたが、所得を正確に把握する方法や、低所得でも土地や高級車といった資産を持つ人はどう扱うかなどの問題があり、軽減税率の方が適していると自民党も含めた与党として判断しました。

―当初、公明党は8%段階からの導入をめざしていたが。

斉藤 消費税率8%段階からの導入をめざしていた最大の理由は、軽減税率の対象となる品目の税率を5%のままに据え置きたかったからです。いったん8%に上がった税率を、その後5%に戻すのは難しいと考えていました。

ところが、自民党との協議の中で、8%に上がった税率を5%に戻すこともあり得ると確認ができた。つまり、われわれが主張していた「対象となる品目の税率を5%にする」可能性が残されたので、10%引き上げ時の導入をめざすことで合意したのです。

―軽減税率導入に当たっての課題は。

斉藤 最大の課題は、減少する税収入の補てんと、事務負担が増加する小規模事業者の理解をいかに得るかです。税収入の補てんでは、国民の理解を得ながら他の税制度での穴埋めも検討しなければならないでしょう。

小規模事業者への配慮としては、現在検討されているインボイス(商品の流通過程で仕入先が発行する納品書)制度や免税事業者への対応などを含め、関係者が納得する制度設計が肝要となります。10%引き上げ時まで約2年半ありますので、商店街の方などに納得していただけるよう取り組みます。

また、対象品目に関しても、当初はコメ、みそなど少品目でスタートしようとしていましたが、食料品全般や生活必需品なども対象になるよう協議したいと考えています。

―導入へ向けた現在の議論の状況は。

斉藤 先月、与党の軽減税率制度調査委員会がスタートしました。商店街の方や小規模事業者団体や税制に詳しい有識者からヒアリングを行うなど、先ほど述べた課題の解決へ向けて総力を挙げます。今夏には中間報告、年末には税制改正大綱の中に具体的な制度設計を盛り込めるよう取り組んでいきます。

一方で今月8日、公明党内にも調査委員会を発足させ、委員長にMBA(経営学修士)取得者で党財政・金融部会長の上田勇衆院議員、事務局長に公認会計士で企業会計に精通する竹谷とし子参院議員を据えました。国民目線に立った軽減税率導入の議論を公明党がリードしていく決意です。

【公明新聞より転載】