危険箇所周知せよ
土砂災害防止法改正案 避難勧告の発令支援も
8月に広島市北部で発生した豪雨による土砂災害の教訓を踏まえ、土砂災害警戒区域の指定や、避難勧告の円滑な発令を促す土砂災害防止法改正案が23日、衆院本会議で審議入りし、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行が質問に立った。土砂災害防止法は、土砂災害の危険性がある警戒区域と、住民の生命や建物に著しい危害が生じる恐れのある特別警戒区域を指定し、住民への危険周知を進めるもの。
斉藤氏は、同法で定められた警戒区域、特別警戒区域の指定手順を(1)地図上で危険箇所を決める(2)危険箇所の基礎調査をする(3)調査結果を基にして警戒区域を定める(4)警戒区域の中で特別警戒区域を指定する―と整理。「(基礎調査前の段階で)危険箇所を地域住民に知らせる仕組みになっていなかったのが大きな問題だ」として、現在の国の取り組み状況をただした。
太田昭宏国土交通相(公明党)は、広島の土砂災害を踏まえ、9月から危険箇所の周知を都道府県に要請した結果、現在では「ほとんど全ての市町村においてホームページや広報紙への掲載などで積極的に周知している」と答えた。
また、斉藤氏は、市町村が“空振り”を恐れず住民に避難勧告を発令できるように、「国や都道府県がきめ細かな情報提供や助言を行うなど十分な支援が必要だ」と訴えた。太田国交相は、「土砂災害警戒情報を通知するだけでなく、地盤の水の含み具合や雨量の予測について時系列情報を伝えるなど、きめ細かな支援を強化する」と応じた。
一方、斉藤氏は、発災時には「自助、共助、公助がうまくかみ合うことが非常に重要」と指摘。自治体単位で作る地域防災計画だけでなく、町内会や学校など、より細かな地域コミュニティーで作る「地区防災計画」の普及促進を求めた。山谷えり子防災担当相は、「今後、全国で地区防災計画の普及に取り組んでいきたい」と述べた。
このほか斉藤氏は、土石流を食い止める砂防ダムの有用性を強調し、「人命を守る観点から、優先順位を決めて整備を行うことが重要だ」と主張した。
【公明新聞より転載】