正確で素早い情報開示を
甚だ配慮に欠ける政府の発信
東日本大震災で被災した東京電力の福島第1原子力発電所(福島県)での事故を受け、公明党は15日、災害対策本部を設置した。一連の原発事故を伝える報道が連日続く中、住民はどう対応すればいいのか。政府の情報発信や公明党の対応などを含め、斉藤鉄夫・党対策本部長(衆院議員)に見解を聞いた。
――今回の原発事故について、現状をどうみるか。
斉藤鉄夫対策本部長 放射性物質が漏れているものの、燃料全体のほとんどは原子炉格納容器、圧力容器の中に閉じ込められており、その量は一定範囲内だ。過去に起きた、米スリーマイル島原発事故でさえ、環境に大きな影響を与えるほどは放出されなかった。したがって、今回も、いたずらに心配するべきではない。政府は、この閉じ込めた状態の維持に全力を挙げるべきだ。
――原発周辺の住民への対応策について。
斉藤 今回の事故については、日本の大切な社会的インフラである原発を地元で支え続けてこられた周辺住民の皆さまに対し、多大なご迷惑、ご負担を強いることになり、誠に慚愧の念に堪えません。避難生活を万全に送れるよう、政府は「いつまで続くのか」といった見通しや方針が分かれば、それをしっかりと明らかにするよう強く求めていきたい。
――他地域に住む住民も大きな不安を抱えている。
斉藤 先ほど話した通り、今のところ、漏れている放射性物質は一定範囲内だ。少なくとも、退避している区域外の住民がこの量の放射性物質で健康被害を受けるというものではなく、冷静な対処が必要とされている。
ただし、今後、格納容器、圧力容器から燃料が放出されるような事態になる可能性が、ゼロとは言えない。今後とも、報道などを注意深く見守ってほしい。
――政府の情報発信について。
斉藤 今、冷静な対応が必要だと言ったが、そのためには、政府が発信する情報に信頼性がなければいけない。これまでの政府の情報発信のやり方は、統一性、整合性、分かりやすさの面で甚だ配慮に欠けていると言わざるを得ない。例えば、分かりやすく説明できる専門家に広報的な役割を一元化することもあっていいのではないか。
――公明党の対応について。
斉藤 公明党として、常に正確な情報を素早く手に入れて、「国民の安全と健康を守るためには、どうすればいいか」を考えていきたい。政府の対応についても、何か間違っていないか、常に監視していきたい。また、風評被害によって農業に与える影響などについても、政府が対応策を打つよう促していきたい。
今は、状況が刻一刻と変わっていく時であり、緊急対応が求められている。党対策本部として、正確な情報開示を政府に求めていくとともに、中長期的には、専門家の意見を聞きながら、原子力政策の見直しも含めた党独自の提言も行っていきたい。
【公明新聞より転載】