信頼できる内容だが、安全性高める不断の努力は必要 東電の福島原発管理は不十分。国会としても対応促す
―原子力規制委員会による原発の新規制基準をどう見ますか。
斉藤鉄夫幹事長代行 規制委について、前民主党政権は当初、政府内に設置したいと提案していました。しかし、それでは事業者の利害や行政の影響力を排除できません。このため、当時、野党だった公明党などの強い主張により、規制委は独立性の高い3条機関として設置されました。
新基準は、規制委が政治的な影響力を排除し、純粋に科学的・技術的な視点から策定したものだと評価しています。
―新基準のポイントは。
斉藤 従来の基準に比べ、大きく変わった点は4点あります。一つは炉心の重大な損傷など、過酷事故対策を新設したこと。次に耐震や対津波性能の強化。また、原発は活断層の露頭(断層が表土に覆われずに露出している場所)がない地盤に設置すると定められたこと。さらに、活断層の認定基準を強化したことです。
―十分な対策だと言えますか。
斉藤 安全に十分ということはなく、今後も不断の努力が必要です。その上で、国会事故調査委員会の指摘に対応し、原発事故を再び起こさないという点で言えば、新基準による規制は信頼するに足る内容と言えるのではないでしょうか。
―既に設置許可を得た原発に対しても、最新の知見に基づく規制の適用をさかのぼって求める「バックフィット」が義務付けられます。
斉藤 欧米諸国は、既存の原発に必ずしも最新の規制を適用するよう求めていません。一方で全ての原発に対して、新基準に適合させるよう義務付けた日本の制度は、国際的に見ても最も厳しいものです。費用がかさむこともあり、事業者側の抵抗もありますが、原発事故を経験した日本として安全性を最優先に考えるのは当然のことです。公明党は、このバックフィット制度を厳格に適用すべきだと考えます。
―今後、この新基準で原発の安全性に関する審査が行われます。
斉藤 停止している原発の再稼働については、規制委が新基準に照らして厳しく判断していきますが、当然、地元の理解を得ることが必要です。
―汚染水の漏出やネズミの侵入による停電など、東京電力福島第1原発の管理態勢に不安の声が上がっています。
斉藤 今の東電の対応では全く不十分です。既に、規制委からも東電に対して管理態勢を強化するよう指示を出しています。われわれ国会も、東電がしっかり対応できているのか、規制委による監視が適切に行われているかどうか、しっかりと注視していきます。
【公明新聞より転載】