公明党は15日午後4時から国会内で両院議員団会議を開き、石井啓一政務調査会長と斉藤鉄夫税制調査会長(幹事長代行)が、民主、自民、公明3党による社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正協議の経過について報告した。
税制
経済の成長戦略と低所得者対策は法案化せよ
斉藤税調会長
税制分野での修正協議は、社会保障分野で3党が合意することが大前提だ。その上で、公明党は消費増税の5条件プラス1に則して意見を主張している。
具体的には、景気回復について防災対策を含めた成長戦略などの景気対策を明確にし、それを法案として国会に提出せよと訴えている。
行政改革の徹底に関しては、一層の取り組みを求めていく。
税制全体の改革では、3党の意見が異なる。所得税、相続税について公明党は幅広く国民に負担を求める消費税の税率を引き上げるのであれば、所得再分配機能を強化するため所得税と相続税の見直しも行うべきとの考えだ。
低所得者対策で公明党は、消費税率8%段階では、軽減税率と「簡素な給付措置」の二つを選択肢とするよう主張。
簡素な給付措置は、手続きは簡素でも、内容はしっかりしたものにすべきだ。税率10%段階では軽減税率と、減税と給付を組み合わせた「給付つき税額控除」を選択肢とする必要がある。低所得者対策も消費増税の前に法案化すべきだ。
自動車関係諸税に関しては、自動車取得税をなくし、重量税を軽減する。住宅などは負担軽減の方向性を明確にしていくべきだと訴えている。
社会保障
新年金撤回など明確に
子育て分野、公明案ベース
石井政調会長
社会保障と税の協議で公明党は、(1)社会保障の全体像を示す(2)景気回復(3)行政改革の徹底(4)消費税の使途は社会保障に限定(5)税制全体の改革で社会保障の財源を生み出す―という5条件に加え、消費税の低所得者対策をしっかりやる「5条件プラス1」を主張してきた。
社会保障分野では、「全体像を示せ」と訴え、民主党が掲げてきた最低保障年金の創設を柱とする新年金制度と、後期高齢者医療制度の廃止を撤回すべきだと主張。具体的には、政府の一体改革大綱で閣議決定されている新年金制度の法案と後期高齢者医療制度の廃止法案の提出方針を撤回すべきだと迫ってきたが、私たちの主張はなかなか受け入れられていない。
そうした中で、自民党が社会保障制度改革に関する法案の骨子を提起し、民主、自民両党の協議でおおむねの合意ができている。
その合意の文言で、公明党の主張に配慮したと民主党に言われたが、われわれとしてはのめないと答え、平行線をたどっている。
公明党としては、この法案とは別に3党の合意文書の中で、公的年金と後期高齢者医療制度の改革に関する与野党協議を行うことにし、その中で実施時期を含めて協議することが読み込めるようにできないかと考え、民主党との協議を継続している。
政府提出の年金関連2法、子育て関連3法は、3党でほぼ合意ができた。いずれも公明党案がベースになっている。
総合こども園法案は撤回し、現行の認定こども園法を拡充する。厚生労働省、文部科学省の二重行政を排し、財政支援を拡充する方向だ。さらには幼稚園、認定こども園、保育所、地域型保育などに対する給付は一本化して市町村にお金が行き届く形にする。保育に関する市町村の実施義務は引き続き残す。大枠として、私たちの主張が盛り込まれた内容で合意している。
年金関連で、厚生年金と共済年金の被用者年金の一元化は、もともと自公政権で主張してきたものと同じなので了解した。
低年金者に対する加算年金は、われわれの定率加算の考え方を取り入れ、保険料の納付済み月数に比例した加算にするとともに、加算する人としない人の逆転現象を解消する制度設計にする。
短時間労働者への厚生年金の対象拡大では、中小企業にとって負担が重くなることから、政府案の対象45万人を狭めることで協議が進んでいる。実施時期は半年遅らせ、3年後に「拡充する」としていたのを「見直し」と修正する方向だ。
【公明新聞より転載】