【公明新聞掲載記事】
2009年度第2次補正予算案に公明党が賛成した経緯と理由について、斉藤鉄夫政務調査会長に聞きました。
――なぜ、野党の公明党が賛成したのか。
斉藤政調会長 まず前提としてご理解頂きたいのは、補正予算と本予算とは意味合いが根本的に異なるという点です。本予算は内閣の政治方針そのものです。これに賛成することは与党であるか、閣外協力の関係であることを意味します。一方、補正予算は本予算編成時には予期できなかった経済・社会状況の変化など緊急事態に対応するためのものです。
日本経済の現況は、昨年後半以降に表面化した景気の「二番底」の懸念や、新卒就職内定率のワースト記録更新など、国民生活そのものが危機にさらされ、いわば非常時にあります。公明党は景気・雇用が大変厳しい状況の中で、第2次補正予算を組む必要性を訴えてきました。政府案の内容について百%満足しているわけではありませんが、早期に執行することが国民生活を守るために必要であり、国民の声と最終的に判断しました。
――第2次補正予算案には第1次補正予算から継続した内容があるのでは。
斉藤 その通りです。公明党が提案したエコポイント、エコカー補助の継続、今回新設される住宅版エコポイントでは買い控えによる景気冷え込みを防ぐため、公明党が政府に申し入れた遡及適応策が入りました。中小企業への資金繰り拡充や雇用を下支えする雇用調整助成金の要件緩和、高齢者医療制度の負担軽減継続、地方交付税の補てんなど、公明党が推進した内容が数多く含まれていたことも賛成した大きな理由の一つです。
――公明党は第1次補正予算の凍結を批判していたが。
斉藤 私たちは政府に対し、「第1次補正予算の凍結解除こそ即効性のある景気対策」と重ねて訴えてきました。その上で、追加的な景気対策を打つというのが本来の姿だったと思います。しかし、その実現が困難な状況の中で、第2次補正予算案を早く執行させることが、1次補正の実質的な凍結解除につながると決断しました。
学校耐震化や太陽光発電パネルの設置を進めるスクール・ニューディールなど、凍結されたままの予算については、粘り強く実現に向けてこれからも頑張っていきます。
――補正予算に関しては過去に野党が賛成した事例が珍しくないようだ。
斉藤 公明党は地域振興券を計上した1998年の第3次補正予算に、当時野党でしたが賛成したことがあります。また過去10年間だけでも、補正予算に野党が賛成した事例は8回あります。直近では、自公政権が追加経済対策として定額給付金を盛り込んだ08年度第1次補正予算に、当時野党の民主、国民新両党が賛成しています。
――「政治とカネ」の問題が国民の政治不信を増幅させている。徹底追及する方針に変わりはないのか。
斉藤 政治の信頼性回復こそ喫緊の課題です。「政治とカネ」の問題追及で妥協することなどあり得ません。
国民の関心は、政治とカネの問題の徹底究明と同時に、早急に景気対策を講じてほしいという2点にある。いずれも全力を挙げて取り組んでいきます。
――公明党は今後、鳩山政権に協力していくことになるのか。
斉藤 「国民生活を守る」ということにすべての判断基準があります。その基準に照らして協力すべきところがあれば協力し、ただすべきところは徹底して追及していく方針です。