復旧・復興へ役割果たせ
全額補助と代行 極めて消極的な政府案
衆院東日本大震災復興特別委員会は2日、大震災で発生した災害廃棄物(がれき)の処理を加速するため、公明党など野党4党が共同提出した特別措置法案と政府提出の特例法案に関する質疑を行い、公明党から斉藤鉄夫幹事長代行が質問し、野党案提出者の江田康幸氏が答弁に立った。
斉藤氏は、がれき処理を「国の責務」と明記した上で、処理費用の国による全額補助を規定する野党案に対し、政府案は「国が責任を持ってがれきを処理する姿勢が見られない」と批判。がれき処理費用の最大9割を国が補助し、残り1割を被災市町村に一時的に負担させた後に地方交付税で措置する政府案について「この1割の負担部分が地方自治体にとって大変に大きな負担だ」と訴えた。
その上で斉藤氏は、国が全額補助する野党案に政府内から「国と地方の適切な役割分担に反する」「市町村のコスト意識を弱める」「他の復旧事業とのバランスを失する」との反論が出されていることに言及。これに対し、野党案提出者の江田氏は、復旧・復興の大前提になるがれき処理は「国が本来果たすべき役割」と力説し、「指摘は全く当たらない」と政府の後ろ向きな姿勢を批判した。
さらに斉藤氏は、一時的な負担を残す政府案では、被災自治体が地方交付税を申請する時だけでなく、広域連携で被災地以外の地方自治体ががれき処理に協力する際にも事務手続きが煩雑なため、迅速に対応できなくなる懸念を指摘した。
一方、斉藤氏は、被災自治体の要請に応じて国ががれき処理を代行する規定の相違点に言及。江田氏は、市町村から要請があった場合、国が必ず代行することとする野党案に対して、政府案は国の主観的な裁量などで代行を拒む余地を残すと指摘し、「極めて消極的な姿勢だ」と述べた。
このほか、斉藤氏は、今年度第1次補正予算のがれき処理費3519億円のうち、執行が決まった金額が823億円で「国の措置が遅い」と批判した。
【公明新聞より転載】