2010年4月19日付 公明新聞より
高速道路問題で政府・与党を追及する
斉藤政調会長=18日 テレビ画面から撮影
「無料化」に反し値上げ
NHK番組で斉藤政調会長
割引財源の道路建設転用
改正案は問題多く反対
公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は18日午前、NHK番組「日曜討論」に与野党の代表者、前原誠司国土交通相とともに出演。鳩山政権が6月から導入をめざす高速道路の新料金制度について「国民は無料にするというマニフェスト(政権公約)を信じて(民主党に)投票したが、実際は値上げになることに素朴な疑問がある。分かりやすく答えてほしい」と前原国交相を厳しく追及した。
斉藤政調会長は、民主党がマニフェストに掲げた「高速道路無料化」に反し、平日・休日ともに「普通車2000円」などと車種ごとに上限額を設けようとしていることについて「(マニフェストで)無料化と言いながら、実質値上げは国民に対するだましではないか」と批判。
前政権が景気対策で時限的に実施している「土日・祝日上限1000円」以外に、民営化されている高速道路会社が独自に導入した朝夕の通勤割引などの制度も廃止することに対し、「国が(新料金制度を)押し付け、道路会社の工夫を奪う形になり、民営化の改革逆行だ」と指摘した。
鳩山政権が新料金制度とともに実施を予定している、37路線50区間を無料化する社会実験については、受益者負担の原則と環境への配慮の観点から「公明党は無料化に反対だ」と強調。その上で、無料化されるのは総延長距離全体の18%に過ぎず、交通量が少ない地方の区間に限られていることから「ムダな実験だと言わざるを得ない」と疑問を呈した。
このほか、斉藤政調会長は、現行割引制度の廃止で浮いた財源のうち、1.4兆円を高速道路会社が道路建設に転用できるようにする政府提出の「道路整備事業財政特別措置法改正案」に対し、反対の立場を表明。
その理由の一つとして「一般会計ではなくなるわけだから、お金の使い方が本当に良いのか(国会で)議論できなくなる。大変に問題がある法律だ」と述べた。
一方、前原国交相は、高速道路無料化が一部にとどまる一方で、大半が実質値上げになることを各党から批判され、「原則無料化と申し上げてきた。全部無料化とは言っていない」など、あいまいな回答に終始した。
与党からも異論相次ぐ
高速道路問題をめぐる議論では、野党だけでなく、与党である社民党と国民新党からも鳩山政権の対応に異論が相次いだ。
一部区間だけの無料化実施に対し、国民新党の森田高政調会長が「初めからお金を使わない方がいいと思う。これは0点だ」と主張。
割引制度の財源を道路建設に転用する法改正案についても、既に閣議決定しているにもかかわらず、「自分たちは何も聞かされていない」(森田氏)、「内部の協議を深めたい」(社民党の近藤正道政審会長代理)と述べ、政府・与党内で意見が集約できていない現状を浮き彫りにした。
これに対し斉藤政調会長は「閣議決定の前に与党の意見をしっかりまとめるのは政治の根底だ」と政府・与党の迷走を批判した。