汚染水対策に万全期せ
公明党の井上義久幹事長らは20日、東京電力福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)を訪れ、汚染水漏えい対策の現場を視察し、東電側と意見を交わした。斉藤鉄夫幹事長代行、高木陽介衆院議員、若松謙維参院議員、党福島県本部の甚野源次郎代表、今井久敏、安部泰男の各県議が同行した。
一行は、事故対応の拠点となっているサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県広野町、楢葉町)で対策の現状を聞いた後、原発内へ。防護服を着用し、バスで移動する中、貯水タンクから放射能汚染水が漏れた箇所で降車し、タンクを解体・調査している状況を視察した。また、1、2号機タービン建屋の東側で地下水を採取している場所でも降車し、港湾を望みながら、来年9月の完成をめざして建設中の海側遮水壁についても説明を受けた。このほか、高濃度汚染水から複数種類の放射性物質(核種)を除く多核種除去設備なども確認した。
意見交換の席上、東電側は、港湾への汚染水の流出に関して、海洋調査の概要を説明。放射性物質の濃度について「これまでのところ、高い数値は出ておらず、全て検出限界値以下だ。影響が広く外の海に出ているということはないと考えている」とした。
また、汚染水対策として、汚染エリアの地盤改良や、トレンチ(配管などが通る地下道)内高濃度汚染水除去などの取り組みについても説明した。
井上幹事長は、汚染水問題について「これまでの作業の積み重ねに対する信頼を損ないかねない」とし、「政府・与党一体となって総力で取り組む」と強調。また、作業員の士気を保つことの重要性に触れ「過酷な環境であり、そこに十分目を配る必要がある」と環境改善を求めた。
視察終了後、井上幹事長は記者団に対し、「汚染水問題の成否によっては(廃炉に向けた)工程に大きな支障を来す」と指摘。汚染水が漏れた“フランジ型”タンクから、漏えいしにくい溶接型タンクへの切り替えを進める必要性を強調した。
また、汚染水の増加原因となっている建屋への地下水流入を防ぐため、土を凍らせて地中に遮水壁をつくる凍土壁については「それだけで十分かどうかは、引き続き検証する必要がある」とした。
【公明新聞より転載】